菊地大司教、今日の日本の教会についてローマで讲演
日本のカトリック教会の今日の情势をめぐる讲演が、ローマで10月4日、东京大司教、日本カトリック司教协议会会长、菊地功大司教によって行われた。
菊地大司教は、バチカンで开催中の「世界代表司教会议(シノドス)第16回通常総会?第2会期」(10月2日?27日)に参加のため、目下ローマを访れている。
「今日の日本のカトリック教会」と题されたこの讲演会は、在バチカン日本国大使馆の主催で、国际カリタスの协力のもとに、トラステヴェレ地区にある同组织の本部で开かれた。菊地大司教は、2023年5月より国际カリタス総裁を务めている。
讲演に先立ち、千叶明?驻バチカン日本国特命全権大使より挨拶があった。
続く讲演の冒头で、菊地大司教は、东北のある小教区を司牧访问した际に撮影した一枚の集合写真を映し出した。
多くの外国出身の信者と、わずかな日本人の信者で构成されたこの共同体の写真を、今日の日本のカトリック教会を表す一例として示しつつ、様々なデータと共に「リアル」な日本の教会の姿をいろいろな角度から绍介した。
菊地大司教は、现代の日本のカトリック教会へとつながる教会史を振り返り、1549年のフランシスコ?ザビエルの到来から始まった福音宣教、その开花も间もなく、北から南まで日本全土を吹き荒れた迫害と殉教、その后、长く厳しいキリスト教の禁教とキリシタン潜伏の时代を経て、1862年に访れた、プチジャン神父による信徒発见など、日本の教会の歴史に刻まれた主な出来事をたどった。
同大司教は、信徒発见以降の日本の教会の歩みを见つめる中で、宣教师たちが、隠れているキリシタンたちを困难を伴いながら探し求め続けるよりも、教育を通しての宣教に重点を移すことを决意した1890年を、日本の宣教における优先事项のターニングポイントと位置付け、実际、この教育分野への取り组みが、日本の各界にカトリックの人材を辈出することになった、と述べた。
そして、讲演では、1873年の高札の撤廃によって、キリスト教禁制が廃止されると、すぐ翌年、东京では筑地教会と神田教会が设立されるなど、再出発していく日本のカトリック教会の姿が映し出された。
こうした歴史に続いて、菊地大司教は、日本におけるカトリック教会の诸教区の分布とその管辖を绍介。
各教区が置かれた环境がそれぞれ异なることを示すために、首都圏を中心とした东京大司教区、地方の教区である新潟教区、元々カトリック信者が多い长崎大司教区の、信者数や、人口比、小教区数などの统计を比较した。
今日の日本の教会のリアルな姿を反映するものとして、菊地大司教は、かつて司教として司牧を託されていた新潟教区、また现在司牧している东京大司教区の小教区の例を语った。
同大司教は、新潟教区に属する秋田県のある小教区をかつて司牧访问した际に、当时の主任司祭から、「今日は大势の信徒がいる」と闻いたが、圣堂に入ると10人くらいしかいなかったというエピソードを回想。
シノドスでも様々な大陆?地域の参加者が皆「小教区」という言叶を何度も口にするが、その各々の「小教区」の环境や条件は全く异なるゆえに、地域の现実を尊重することが大切であると话した。
また、菊地大司教は、特に地方においては神道や仏教の存在感が强く、カトリック系の学校や病院等が整っていても、なおかつ宣教が难しいのは、キリスト教には献身が求められるからだと推测。
たとえば、キリスト教は毎週日曜日にミサに行かなければならないが、神道や仏教では、神社や寺には行きたい时、必要な时に行くという大きな违いがある。たとえ多くの日本人が宗教の必要を感じていなくても、実际には、日本人は本来非常に宗教的な人々である。しかし、こうしたコミットメントの要求が日本におけるキリスト教の広がりを难しくしている、と语った。
别の问题として、同大司教は日本における人口の减少と、社会の高齢化、少子化を挙げ、これらの问题がカトリック教会にも影响を及ぼしていると述べた。
一方で、日本には、中国人、韩国人、フィリピン人、ベトナム人、ブラジル人などの、定住者や、労働ビザで来日した人々等、移民の存在があり、その中に多くいるカトリック信者たちが、现在の日本のカトリック教会に活気を与えていると述べた菊地大司教は、その様子を、地域のフィリピン人たちの共同体の努力から创立された新庄教会(新潟教区?山形県)の例を交えて伝えた。
さらに、今年4月に行われた日本の司教らのバチカン定期访问(アド?リミナ)の写真を提示した同大司教は、この定期访问に参加した17人の司教のうち5人を占める外国からの司教たちに言及、司教団も国际化している点を明らかにした。
菊地大司教は、东京大司教区の小教区を核に形成された様々な外国人信者の共同体や言语别のコミュニティーを绍介しながら、多様性における一致という大きな课题を示した。
タグレ枢机卿(教皇庁福音宣教省?初期宣教部门副长官)が、海外にいるフィリピン人たちに会うたびに话す、「あなたがたがここにいるのにはそれぞれ理由があります。皆さんは神様に遣わされました。皆さんは宣教者です」という言叶を同大司教は引用。これは日本のカトリック信者にも言えることと指摘した。
最后に、菊地大司教は、东日本大震灾の被灾地のベースでカリタスジャパンが根强く復兴支援の活动を続ける中で、人々がカリタスのボランティアを「カリタスさん」と呼ぶようになった、と语り、人々が「カリタス」(神の爱)とはどういう意味かを问うことで、それは福音宣教の一つの形になっていくだろうと强调した。